偽仁志（最初は公式Webのスコア、４回から衛星放送で観戦）：きょうのは負けてもいい練習試合だって私にもわかります。

偽南渕（公式Webのスコアで観戦）：ホントかなぁ。

偽仁志：まず、優勝まで大奮闘だった投手陣を休ませるために、川上を19安打（リーグワースト）されて14失点（リーグワーストタイ）するまで投げさせた。

偽南渕：はい。それから。

偽仁志：打線は優勝の日に骨折したやまさきの代わりを探るために、０封が続いても８回まで替えずに使う。おかげでリード（鈴木、吉原）と内野守備が乱れまくりでしたけど。

偽南渕：それ、半分ぐらい解説者の意見でしょう。

偽仁志：残り半分は自分でわかったんだからいいじゃん。ふん。

偽南渕：なに。がっくりきてるの？

偽仁志：いーえ全然。むしろ、ここ数日間の私の燃え尽き症候群が快方に向かいそうな気分だよ。まだまだ野球は続くのだってことが実感として迫ってきたよ。

偽南渕：中日は最初に三浦が乱れて奪った打者一巡の５点だけか。最後の回だけまた点がとれそうだったけどね。途中出場の渡辺と代打愛甲が働いて、二死満塁で福留孝介。

偽仁志：あいついい顔してたけどね、性格悪そうな。でもファーストゴロで終わっちゃった。最後に意地を見せる、というのは今のコースケのキャラじゃないってことかぁ。

偽南渕：孝介は最初の回は２ベースを打ってたね。きょうの長打はこれと神野の３ベースだけか。神野、なかなかいいね。

●2000年問題

偽仁志：神野が来年もう少したくさん出場できる体になって、立浪−神野が久慈−福留ぐらいの関係になればなぁ。勤続疲労な立浪も休めるから元気になって、両方の貢献度が上がるのに。

偽南渕：優勝の日にキミの職場のドラファンを集めた「友の会」のTさんとした話だね。

偽仁志：立浪の最多二塁打数は、やっぱりきょうローズに抜かれた。

偽南渕：取り返せるでしょう、そんなの。

偽仁志：ムリだと思う。5,000円賭ける？　腰痛でスタメン落ちして戻ってから短打と進塁打しか出てないよ（注・1999年10月２日現在）。

偽南渕：賭けない。タイトルはあと、野口が勝ち数で上原に並ぶ可能性が残っている。賞ものは岩瀬の最優秀中継ぎ賞と福留・岩瀬の最優秀新人賞の特別賞、野口か関川のMVPも狙えるかも。

偽仁志：そうそう。できれば残り５試合で少しは記録を整えたいよね。

偽南渕：できれば、ね。

偽仁志：残り試合といえば。きょう中村を休ませて鈴木捕手に練習させたように、日本シリーズまでに立浪やゴメス、関川のいない試合もいくつか経験する必要があるかもよ。負けてもいい今のうちに2000年以降のドラゴンズ野球を考えなきゃ。

偽南渕：中村は優勝の日に自打球を足に当てたしケガもしているようだけど、この日にベンチだった理由はそれだけじゃないよ。ダイエーの偵察隊が来ているので、中村を出してリードを研究されたくないの。

偽仁志：おお。さすがだ先輩。じゃ、そろそろ重要なテーマについて、先輩のご意見を伺います。日本シリーズにおいて、やまさきの穴はどう埋めることになりそうだとお考えでしょうか。

●山崎不在の問題点

偽南渕：関川とやまさきって学年が同じでさ。

偽仁志：？

偽南渕：それで仲がいいんだな。ベンチでよく隣同士になってるよ。

偽仁志：やまさきはよく立浪といっしょに行動しているよ。宿舎で同室らしい。

偽南渕：でも「仲がいい」のは関川だよ。対横浜戦で、久慈のヒットで延長戦を制した試合があったでしょう。その試合の中盤で３ランを放ってベンチに帰ってきたやまさきに、関川は「明日のスポーツ紙の一面はおまえだな」という感じで、お尻をぎゅっとつねっていたのを、私はテレビで目撃しました。

偽仁志：で、やまさきの穴を埋める話は？

偽南渕：関川ってテンション高いでしょ。のんびりやさしいやまさきと話すとなごむんだろうな。

偽仁志：……。

偽南渕：関川は打席で失敗すると、外野守備の前のキャッチボールでライトの井上にひどい球を投げて八つ当たりするんだって。

偽仁志：それ、月刊ドラゴンズの同じ号で関川と井上の両方が別々の記事で証言していた（笑）。宣がくずれて大変だった時期に、重い静けさの流れるベンチ裏から関川の雄たけびが聞こえてきたという話があったよね。

偽南渕：雄たけびはしょっちゅうあげているらしい。ガッツあるプレーでチームをひっぱってくれたのは確かだけど、ひとつ間違えるとチームメイトには近所迷惑だったかもしれない。それをいつも受けとめてくれたやまさきがいないのだから大変だ。

偽仁志：それは確かに大変だ。だれが代わりを務めるんだろう。

偽南渕：ね。やまさきの穴を埋めるのは大変だよ。井上ひとりじゃムリだよ。

偽仁志：そ、そういう意味だったのか。

●ここが関川の正念場

偽仁志：ドラゴンズでやさしそうなのはだれだろう。

偽南渕：みんなやさしいんだけどね。やまさきみたいに、ふだんのんびりと鈍くて、いざとなるとすごい勢いで怒りのパワーを発揮する。そういうタイプとなるとね。

偽仁志：渡辺は？　ああ、やさしいけど鈍くないよね。

偽南渕：むしろデリケートだよ。関川にグチられるといっしょに落ちこみそうだ。

偽仁志：ゴメスとか大西とか前田の「明るい」系じゃないんだよねぇ。

偽南渕：前田はいいんだけど、野手から選んでほしい。ベンチに戻った関川がその隣にすわるんだから。

偽仁志：そうだ。南西対談の「たまには夢を」じゃないけど、ドラゴンズから３人の主力選手を放出してオリックスのイチローと交換するっていう噂があるじゃん？

偽南渕：それはダイエー側の攪乱作戦だね。今年の日本シリーズは情報戦だよ。

偽仁志：ま、それはおいといて。イチロー⇔やまさき・立浪・李と同じで（こら、名前出すな！＞自分）、やまさきの代わりもひとりである必要はないんだよ。井上と渡辺のふたりってことにして、関川はこのふたりの間に座るの。

偽南渕：やさしさは渡辺、受容は井上として、鈍感の担当は？　無神経とは違うから福留はダメだよ。

偽仁志：うーん。やっぱりやまさきの代わりはいないってことだねえ。意外なところから関川にピンチが。関川もここが正念場でしょう。

1999/10/2

【補足・このあとの勝敗】

　以上が優勝後初の負け試合である。
　その後はどうなったか。

■横浜戦
　翌日10/3はベイスターズに勝ち、ダイエーから鳥越との交換トレードで入団した河野のホームランは「まるでやまさきじゃーん！」とファンを喜ばせた。

■阪神戦
　このあとの阪神タイガース戦は一勝一敗。
　まず10/5は野口＋立浪の最多勝＋最多勝利打点コンビで気持ちよく勝利。当日の昼休みに同僚の女性に「立浪って最近全然名前ききませんね」と元気よく言われて「うーん。あれはうちの選手会長」としか言い返せなかった偽仁志はひそかに喜ぶ。

　翌日10/6の阪神戦は１対１で延長戦になり、武田が押し出しでサヨナラ負け。「武田ってきかんぼでスカしてるのに隙だらけで、よくも悪くも東京の子だよ」と喜んでいた、武田と同じ世田谷生まれの偽仁志はひそかに悲しむ。

　ナゴヤドーム最終戦のあとの遠征はそれで一段落、名古屋には７日にようやく戻ったらしい。
　ペナントレースは10月10日ヤクルト戦でおしまい。練習も、記録狙いも、やまさきの穴を埋める試みも、この一戦で終わりとなる。

　↑というわけで、体育の日、野口の応援をしに偽者ふたりで神宮球場に行った。

■ヤクルト戦
　練習としては走塁ミス、レフトのスタートの遅れによる被安打、ショート失策、サードがイレギュラーバウンドをはじきそれが決勝打に（ぜんぶＰＬコンビ）、などを経験した。

　記録は野口の最多勝タイはならず。ヤクルトに18残塁（プロ最多）もさせたうえで井上の１安打のみという味方の貧打にあい、苦しい苦しい負けを喫した。打線は「３割打者はけっきょく関川だけ」というすごいことになってしまった。
　あと有望なのは岩瀬の最優秀救援投手、関川か野口のMVP、立浪の最多勝利打点かな。

　やまさきの穴を直接うめる河野はじょうずにバントしたが後続がダメ、それより守備がここへきてガタガタになる、というしんどい家庭内事情をさらけだした。
　８回から二遊間が立浪・久慈、レフトが李に替わり、それぞれに動きが生き生きしてくるという一瞬もあった。
　しかし最後はコースケが代打馬場の打球をはじき、ペナントレースを締めたというか緩めてくれた。スタンドの小学生にまで「フクドメはもっと守備の練習しなきゃだめだよ」とカン高い声で言われていた。

【補足・守れ久慈！】

　なお関川じしんの証言によると、ベンチ裏で悔しさのあまり暴れて手がつけられなくなった関川を抑えられるのは「愛甲さん、久慈、音さんくらいかなあ（笑）」（フライデー1999年10月22日号）とのこと。
　まずくじがすばやく背後にまわって腰にしがみつき、音が左腕をとり、愛甲が右腕を抑えてあの大きくて強い目で睨み、「よせ、セキ。借りは次の打席で返せばいいんだ」。これですね。

（1999/10/11　東山補足）