●野球中継中止による特別企画：
もしドラナインが同級生だったら
対談が行われた６月３日。この日の試合は、スコアをご覧のとおり、ボクシングでいえば、第１ラウンドのゴングが鳴った瞬間に相手のラッシュをうけて「秒殺」された状態になった。
それからは、テレビとラジオ中継のアナウンサーと解説者はいうにおよばず、ドームやテレビ、ラジオの前の観客、さらに選手や監督、コーチ陣まで、全員が私語しまくりでした（決め付け）。唯一、憮然たる表情の星野と山田を除いて…。
例にもれず南西対談の二人も、この試合の中盤に読賣が「おひなさま（木村。（c）偽仁志）」を、中日が善人顔の正津を登板させてきたのをいいことに気が緩み、私語のオンパレードとなりました。ここのみ偽南渕・筆 |
偽南渕（テレビ観戦中断中。２日はＷｅｂ観戦）：正津ってさ。女子のひな祭りパーティにひとりだけよばれる男子みたいだよね。
偽仁志（同じく）：わはははは。なるほどね。「ムサ苦しい」の対極にあるタイプだもんね。
偽南渕：よばなかった、ああいうタイプ？ なんか毒にも薬にもならなくて安心できるから、参加する女子全員のおもちゃとしてひとり男子を選ぶときによばれるじゃん、ああいうタイプ。
偽仁志：自分の話となるとちょっと違うなー。９歳の誕生会にひとりだけ男子の山内くんをよんだけど、いかにも「ガキ」ってかんじのやんちゃな子でした。
偽南渕：じゃあ、正津とタイプがちがうねぇ。
偽仁志：もっと女の子女の子した人は正津なのかもしれないけど。あたしは山内アツシ。あいつは大家族の末っ子で、あたしら女子相手にも、平気で男子の友達と同じように騒げるタイプだから、付き合いやすかった。
偽南渕：なるほど。
偽仁志：うちの選手でたとえるなら、よびやすいのは福留ですね。あたしは正津はよばないよ。おたがい気をつかっちゃうよ。
偽南渕：そうかぁ。キミは福留のことを、「女子ドラファンの弟」とかいってたからな。
偽仁志：そ、それはわれながら反発を呼びそうだな…。あと立浪もよばない。親なんかは授業参観できりっとした優等生の立浪を見初めて、「あの子と仲良くなりなさい」とか言うんだけど、こどもとしては危険すぎてよべない。
偽南渕：女子に人気あるだろうに。よぶと女子の間でキミの株が上がるよ。
偽仁志：人気あるけど、あいつよぶと、メンバーのなかに彼を好きな女子が必ず二人はいて、どちらかがいぢわるされて、泣くやつとか出てきてパーティーが無茶苦茶になるからだめ。
偽南渕：立浪はそういうことをしっかりわかっていて、さらにかき回すタイプかもね。
偽仁志：あと貴重品のバナナもひとりで２本食ったりしてさ。
偽南渕：古いっ。こどものころバナナが貴重品だったという話は立浪には通じないよ。１９６９年生まれだろ。ってことは、彼が生まれる前に、高価な台湾バナナに替わってすでに安い南米産のチキータバナナが上陸してたんで、バナナの価値は暴落してるんだぞ。
偽仁志：じゃ、こういうのは？ 持ってくるプレゼントがいかにも気のないかんじでさ、自分の親に来た化粧品メーカーのお中元のタオルをのし紙つきのまま持ってきて、あたしに恥かかせたりするの。
偽南渕：あっそ。じゃ、陽気なパーティ好きでさびしがり屋のゴメスをよんだら？
偽仁志：話がややこしくなるからやめましょう…（ほんとはこの日ヒゲなしゴメスのかっこよさに惚れ直したので恥ずかしくて話題にできない）。
●黙って見てろナベツネ
偽仁志：巨人戦だとムキになるといわれるウチのチームですが、ことしは巨人のほうがムキになっている。去年よほど悔しかったのですね。
偽南渕：うん。
偽仁志：よくウチを研究してるよ。昨日すぐ桑田を変えたのも、勝ちに来た、ってかんじだね。あの采配なら文句ないだろ、ナベツネ。
偽南渕：あはは。
偽仁志：ナゴヤドームでの巨人戦３連戦の前、広島東洋カープ様が血反吐を吐きながら巨人を３位にまでたたき落としてくださいました。その巨人に、パンパンと負けて単独首位に押し上げたドラゴンズって…。
偽南渕：……。
偽仁志：あっ！ 寝てる！
偽南渕：うるさいなあ。この大事な３連戦の緒戦の先発が武田だってとこから、もうボタンのかけ違いが始まってるんだから、もう寝るしかないよこんな試合。
偽仁志：武田の日も小池の日も、うち２桁安打なのにねぇ。
偽南渕：最初に小池で行くべきだったの。そうすれば第２戦の展開も全然違ったよ。小池にかかるプレッシャーが全然違ったよ。それなのに、またしても信用できない武田を第１戦に起用するからさ。
偽仁志：でも、第１戦は相手も桑田だから、十分勝機はあったじゃない。
偽南渕：だからこそ、不安定な武田を出しちゃダメなんだよ。いわば、星野の性格を見抜いた、読賣の頭脳作戦なんだよ。
偽仁志：長嶋采配って何も考えてないって言う人もいますけどね。そんな監督いるわけない。
偽南渕：いや、監督は考えてないよ（こいつ、どうもＯＮ時代に巨人ファンだったときの垢が落ちてない…）。でも首脳陣は違うの。昨日の試合なんか、ほとんど「トーフとトーフの殴り合い」だね。
偽仁志：な、な、な、何？ また囲むの？
偽南渕：つまりね、お互いの先発投手がボロボロなることははじめからわかっているのに意地になって出してくるんだ。先発が桑田と武田だったら、ああいう展開になるに決まってるじゃないか。
偽仁志：そうなると、攻撃陣で上回る巨人が圧倒的に有利になりますね。
偽南渕：そそそそ。そのとおり。読賣側は、「星野さん、うちは第１戦桑田を出しますよう。お宅の先発は誰ですかね？」って挑発してくる。それに対して、男センイチとしては一歩も引かずに「じゃあ、俺のかわいい後輩武田がどうしても投げさせてくれって言ってるんで先発じゃあ」となりますね。
●明治は遠くなりにけり
偽仁志：この三連戦の前は２日休みになったので、第１戦の先発は誰もが投げられる状態なのに、昨年の後半から巨人戦ではめった打ちにあっていて、もう通用しないことが十分に証明されている武田を、敢えて先発に。
偽南渕：たしかに、武田は強いものに歯向かっていく「明治男」の気概は持っているんだけど、いかんせん球が緩いよ。
偽仁志：もう寝ないの？ あたしゃ眠くなってきた。
偽南渕：（無視）。彼の場合、パリーグ時代から、強いものに立ち向かっていってやられて帰ってきて、そのあと弱い者いじめをして勝ち星を稼いで帳尻合わせをするタイプなんです。今みたいに２勝しかしていない状態で出すべきじゃないんだけどなあ。
偽仁志：そんなことは重々わかったうえで、あえて武田を出すのが星野監督。
偽南渕：そーそーそー。そのとおり。ここに『熱将 星野仙一』（戸部良也著・ＫＴＣ中央出版）があるでしょう？
偽仁志：ああ、最近また出た星野関連本ね。
偽南渕：この本自体は、星野監督礼賛のいわばヨイショ本なんだけど、これを読むと星野監督の弱点がよーくわかるんだ。
偽仁志：はいはい。それから。
偽南渕：たとえば昨シーズンの開幕投手は、一昨年の最多勝投手の野口じゃなくて川上だったじゃない？
偽仁志：ケンちゃん！ 去年の開幕のころはまだ中日にハマる前だけど、ケンちゃんは応援してた！ だってヨシノブやっつけるんだもん！
偽南渕：まあ、聞きなさい。当時、開幕投手を誰にするかについては、投手のことは一応すべて山田久志投手チーフコーチに任せていることになっているから、星野自身は開幕投手を誰にしろという指示は出せないわけです。
偽仁志：ふんふん、それから。
偽南渕：そうしたら山田が「川上が第１戦で投げたがっています」と相談するものだから、星野は「しめた！」と、ものすごく嬉しそうな顔をしたんだって。まあ、これが全てだね。
偽仁志：全てだね。
偽南渕：ちなみにこの著者の人、たいていの選手はほめまくっているんだけれど、なぜか正津に対しては誉めながらも「地味ではあるが」というフレーズを連発してました。よっぽど目立たないんだね。
偽仁志：なるほどね。好き嫌いが激しいからねえ、星野監督。昔はあんなにかわいがっていた立浪に対して、今ではあんな仕打ちやこんな言い方を。
偽南渕：そんなことはない！ この間の暴行退場事件で、二人の仲は元のサヤに戻ったの。
偽仁志：そんなもんかねえ。
●星野が育てた息子たち
偽仁志：やまさきは相変わらず首位打者らしい安打を続けてますね。
偽南渕：ほんと。チャンス以外にはよく打つよねえ。さすが、「和製パウエル」だ。
偽仁志：このままの成績だと、首位打者のタイトルを獲得しても、よそのチームに売り飛ばされかねないですね。
偽南渕：これに対し、立浪は今にも３割をわりそうです。
偽仁志：きょう久しぶりに映像を見たけど、疲れてますね、あれ。相手が本気で追わなかったからヒットになったような安打しかしてない。ムカついた星野が、いったんレフトに追いやってから下げて、種田に替えてました。
偽南渕：ところで愛甲戻ってこないね。左の代打どうするんだ。誰もいないじゃないか。だから、音をクビにするなって言ったんだ。ちゃんと後継者をつくってからにしないとダメ。いつまでも「今年のショーゴーはいい」は通用しないぞ。
偽仁志：音っていまスコアラーなんでしょ。きっとスコアラーのほうの人材不足を補ったんだよ。そういうの、ダメ？
偽南渕：ダメ。
偽仁志：だいじょうぶだよ。４日の巨人戦３戦めから、立浪が左の代打の切り札だから。
偽南渕：あっ！ あっ！ やめろ！ わー。みなさん。私は止めました。私は止めましたからね。 |