南西対談2:戦わずして
 

4月08日(火) ○中日6−4阪神
4月09日(水) ●中日0−5阪神
4月10日(木) ○中日3−0阪神(以上甲子園球場)←単独首位
4月11日(金) ○中日5−3広島
4月12日(土) ●中日6−9広島
  13日(日) ●中日0−9広島←2位
(以上ナゴヤドーム)
 


●元木問題:あくまでも立浪の仕業にしたい偽南渕

偽仁志:最初にご報告を。前回の南西対談で、2003年3月29日の東京ドームの巨人中日戦 、2回裏に井端の顔を蹴った元木に「顔タッチ」してかたきをとったのはだれだったのか、という問題について、掲示板でぺんぎんさんからご指摘をいただきました。

偽南渕:ぺんぎんさん、ありがとうございました。

偽仁志:正解はセカンドを守っていた荒木。ぺんぎんさんによると、「井端も『仕返ししろとは言ってないけどやられ損じゃなくてよかった』と言ってたそうです」とのことです。

偽南渕:つまり、

アベの遊ゴロを井端がキャッチして、二塁走者のモトキが三塁に向かうのを見逃さずにすばやくサードに送球して、三遊間に挟む。

井端の
のこもったボールを受けたサードの立浪が、セカンドに帰塁しようとするモトキをじっくり追い込んで、ギリギリのタイミングで、セカンドベースカバーに入っていた荒木に送球。

立浪の「やりかえしてやれ」という裏指示のこもったボールを受けた荒木は、日頃からの井端に対する
“想い”も込めて、モトキへの「顔タッチ」を敢行・・・。

という、ドラ三人衆による、美しいリベンジ友情物語が完成したわけですね。よかった、よかった。

偽仁志:どうしても偽南渕さんは、立浪の陰謀にしたいのですね。

 

●金本、働く

4月9日
中日 000 000 000|0
阪神 000 212 00X|5

中日=山本昌、遠藤、平井−谷繁、中野
阪神=藤田、藤川、ウィリアムス、ポート−矢野

勝投手=藤田(2試合 1勝)
敗投手=山本昌(2試合 1敗)


偽仁志:阪神に完封はされたものの、続く10日の試合には勝って、カードとしては勝ち越し 。これで連続して4チームに勝ち越しを納めましたね。

偽南渕:ただし、いろいろと世間を騒がせた大塚と 、いまだに中日ファンの間に溶け込んでいない谷繁のおかげで勝つという、何だかすっきり喜べない勝ちもありましたが。

偽仁志:阪神といえば、カープからFA移籍した金本だけど、カープ時代は春先はからっきし打てなくて、話題といえば下痢や風邪だったのに、今年はどんどん打ってるねぇ。13日現在、本塁打こそ1本だけど安打数は23本でリーグ同率トップ、打率は4位(.371)、得点圏打率も.429だわよ。

偽南渕:カープとの待遇の違いがこんなに響くとはね。

偽仁志:カープでも金本はたくさんもらってたじゃん。

偽南渕:いやー、自分の億単位の年俸っていうのはシーズン中に毎日実感する性質のものじゃないでしょう。それより球場や練習場の施設とか、移動手段や宿舎の環境っていうのは、自分だけでなくチーム全体 の金回りからくるものでしょう。そういうのが前よりはるかに改善されると、プレーに影響することもあるんじゃないかなぁ。

偽南渕コラム:カープの悪口は俺が許さん

広島東洋カープは地方興行があると「こだま」号で移動するという話がもっともらしく伝わっています。

一方、阪神タイガースは「ひかり」号のグリーン車を使用します。

カープはいつも高そうなものは除外するため、「こだま」を基準に旅費を計算しています。そのため、実は「こだま」と「ひかり」の料金が同じだということを知らないのです。

そんな失礼な噂がまことしやかに流されているのですよ。いけませんね。

ただし、2002年はカープの地方興行がたくさん行われましたが、これは全日空機を使用しました。もちろん皆さんが旅行に使うような、ちゃんとしたジャンボジェット機です。

全日空のカウンター業務に従事していた広池選手が「早割」などを融通してくれるため、航路も使えるようになったのです。

かつての、カラの石油タンカーに乗せてもらって日本海沿いに移動していた時代よりは、カープもいろいろ待遇改善されてはいるのです。

偽仁志:そんな噂きいたことないよ。

偽南渕:俺が今作った話だからね。

偽仁志:面白くないから中日の話にしていい?

偽南渕:本来ここはその話をする場だろうが。

偽仁志:ちっ。あのね、マケ投手になった山本昌は、前から言ってるけど、思ってることが顔に出るタイプ で、今年はまた一段と、テレビの画面に字幕が見えるぐらいわかりやすいよね。「ああっ、やっちゃったよ。今の球は甘かったもんなぁ。もうきょうはマケかも。そしたら俺のせいじゃん。もう引退かなぁ。ダメだなあ俺」

偽南渕:アメリカのコミック雑誌のリアルな絵みたいだよね。でもそのあとに「ま、いっか。切り替えよっと」ていうのが来るのがマサの魅力だよ。

偽仁志:同じく打たれると顔に出るカープの高橋建は「打たれた…打たれた…打たれた…打たれた」とか「歩かせた…歩かせた…歩かせた…歩かせた」ループ状になってまわるだけで単調なことこのうえない。山本の「ま、いっか。切り替えよっと」はだれにでも出せる字幕じゃないよ。

偽南渕:その高橋建だよ問題は! ドラゴンズがこのあとカープに負け越して、5カード連続勝ち越しを達成できなかったのは、ベンチが高橋の影に怯えたからなのですみなさん!

偽仁志:ではカープ戦の話に行く前に、「高橋の影」について説明いたしましょう。カープの高橋は2002年に14敗もしたくせに、実は昔から中日にはやたらと強く、特に2002年のナゴヤドームでは完封を2回もやってるんですよね。

偽南渕:ほかにも何かと中日と縁がある選手なので、巻末のコラムをご参照ください。

偽仁志:でもそんな高橋にやたらと強いのが渡邉博幸で、2001年にも2002年にも、高橋キラーとして重用されていました。 渡邉と高橋は、渡邉が学年でひとつ下ですが、因縁は東都大学 リーグ時代までさかのぼります。その話はまた別の機会に。とにかく2003年の初対決で、中日は高橋キラー渡邉の起用を失敗してしまったのです。


●高橋建、不戦勝

4月12日(土)
広島 062 000 010|9
中日 101 000 103|6

広島=ブロック、林、西川、玉木、小山田−石原
中日=野口、紀藤、平井、落合、山北−谷繁、中野

勝投手=ブロック 2試合1勝1敗
敗投手=野口 3試合1勝1敗

■本塁打
C福地(1号2点)、D立浪(2号2点)

この日の中日スタメン
福留
井端
立浪
オチョア
渡邉
谷繁
井上
荒木
野口

偽南渕:12日の試合は先発を高橋建と読み間違えて、クルーズを先発からはずし、 高橋キラーの渡邉を5番に抜擢したのが、見事に裏目に出たね。

偽仁志:テレビつけたらスタメンに渡邉と谷繁の二大高橋キラーの名前が隣どうし並んで出てるからさ、私もカープは大方の予測を覆して高橋で来るのかと思ったよ。

偽南渕:球団広報からの情報では、「クルーズには休養を与えた」ということだけど、普通、勝負を決める3ランを打って調子の出てきたバッターが、 翌日は疲れて休養が必要というのは、どうも解せないね。

偽仁志:中継では、「睡眠が必要」っていう言い方もしてたね。

偽南渕:だったら試合中に寝てたのかよクルーズ! それどころかベンチにいてにこにこしてたぞ。渡邉の打席で、テレビカメラがクルーズ写し出してさ、「クルーズいるじゃん! 元気じゃん!!  中日ベンチのバカ、バカ!」って糾弾してたよ。

偽仁志:ブロックは初登板で失敗して、この日もとんでもない高いところに放ったりして制球難だったんですけどね。いわゆる、荒れ球ゆえに狙いが絞れず打ちにくい、というやつだったんでしょうか。

偽南渕:まあ、この日は打てなかったというより野口がよくなかったんだけどね。またカメラがさあ、野口が打たれると山田を映して「お前のせいだ」「お前がクルーズ出さないからだ」。

偽仁志:ベンチの監督の表情を写すのなんてふつうじゃん…。

偽南渕:いーえ、あれは采配批判です。ブロック相手ならクルーズでよかったんですよ。渡邉も、1点先制し 、なお一死一二塁の場面でダブルプレーを喫して、ドラゴンズに来ていた流れをせき止める形となり、「ここでクルーズが打席に立っていればなあ」と思わせ、そこにもってきて、野口の大 乱調で大量失点と、最悪の展開になったんです。平井の日本人投手ナゴド最速となった、無駄な152キロが悲しいよう。

偽仁志:また速いのいくらでも投げてくれるよ…。

偽南渕:しかしブロックが読めなかったとは。あのいい加減な先発予想をするトーチュウでさえ先発はブロックって読んでたよ。中日007の情報力はトーチュウ以下ってことじゃん。

偽仁志:私も先発ブロックは読めてたけどね。でもほんとに読み違いかなぁ。だって先発メンバーに井上いたよ。山田采配って、左を読んでたら好調でも井上をはずす ことで非難されてるぐらいなのに。

偽南渕:偵察メンバーでしょう。

偽仁志:珍しく冷たいこと言いますね…。

偽南渕:そういう意味では、高橋建は投げる前からひと仕事したことになり、今回のチームへの貢献度は非常に高いことにな ったね。
 

●渡邉、不戦敗

4月13日(日)
広島 024 020 010|(14安打)
中日 000 000 000|(5安打)

広島=高橋−石原
中日=小笠原、落合、平井、山北−谷繁

勝投手=高橋(3試合2勝)
敗投手=小笠原(4試合2敗)

■本塁打
Cハースト(2号3点)、C前田(2号2点)

この日の中日スタメン
福留(4打席無安打)
井端(4打席2四球1安打
立浪(3打席2四球)
オチョア(4打席1安打
クルーズ(4打席無安打)
谷繁(3打席1安打
関川(3打席無安打)
荒木(4打席1安打
小笠原



偽南渕:で、結局本物の高橋建には完封されるし!

偽仁志:なんで中日ベンチ、 高橋なのに渡邉を先発させないかねぇ。

偽南渕:前の日に先発を読み間違えたから、もう恥ずかしくて出せなかったんだよ。

偽仁志:恥ずかしがっている場合!? もうさんざん恥ずかしいことをしてきたじゃない。渡邉を先発させることぐらい、いんちきでも何でもないんだから堂々とやればいいじゃん、勝つためなんだから。

偽南渕:方針は貫かなきゃいけないの。ここでまた渡邉を出したら、「やっぱり昨日は先発を読み間違えたんじゃん」てわかってしまうから、「あくまでも昨日の渡邉先発は休養したクルーズの代役」という路線を貫いたの。

偽仁志:偽南渕さん以外は「やっぱり昨日は」なんて考えてないと思うよ。

偽南渕:でも渡邉出したって、前日にダブルプレー食らった渡邉だからなぁ。

偽仁志:いいの! 渡邉は高橋から打つだけじゃなくて、そこにいるだけで四球放 らせるから「キラー」なんだから。 まあ、小笠原が打たれたのも大きいけどね。

偽南渕:3回表にはもう6対0…。久野誠アナと解説の木俣達彦のCBCコンビはすっかり試合を報告する気力をなくしてたね。無理もないよ。

偽仁志:4回表、ライト福留とセカンド荒木がフライを捕りに走ってきたら、久野、「 同い年で仲のいいふたりです」だってさ。くだらなーい、あはははは。

偽南渕:5回に小笠原がハーストに2ラン食らったのも、久野と木俣で「小笠原にかわる先発 は誰がいいか」の私語をしてたときだもんなぁ。

偽仁志:小笠原、何でこんなことに。

偽南渕:勝負が決まってからの小笠原は思い切ってぽんぽん投げるので、安心して見ていられる。やっぱり敗戦処理向きなのかなぁ。

偽仁志:小笠原は、覇気がないと木俣からさんざん非難されてましたね。でも、そう見られやすい外見なんじゃないでしょうか。川上や山北なんかその点トクですよね。

偽南渕:その山北は最終回に出てきて、またムダに無失点記録を積み重ねてたよ…。

偽仁志:渡邉は最後の打者として代打で出てきて、センターフライに倒れていました。ああもったいない。

偽南渕:まあ、大量得点差の場面で渡邉出せば、いくら高橋でも抑えますよ。それにしても今年も 中日は高橋にやられまくるのかなぁ。

偽仁志:高橋も、次の段階として渡邉がスタメンで打順が谷繁と並んでいる試合で勝てたら本物ですね。真の勝負は次の機会かもしれません。

偽仁志推奨高橋攻略スタメンversion2003
福留(高橋のカモ。油断させる)
井端(小柄な選手を使って四球を呼ぶ)
立浪(だれも打てない日に高橋を打つことで有名)
オチョア(ここで打線が切れる可能性もあるが四番だからね)
渡邉(以下荒木まで「高橋用ブルースリー」)
谷繁(ベイ時代からの高橋キラー)
荒木(昨年の対高橋打率は低いが2001年に本塁打)
大西(この日も代打で安打。実は「新高橋キラー」候補)
投手(できればバントが下手な投手)

 

巻末コラム:その他の高橋対中日の因縁

高橋のプロ初勝利は対中日戦(1995年4月、ロングリリーフで)

法元スカウト・男の未練
 偽南渕によると、2002年、スカパーの中日広島戦の解説に元中日ドラゴンズスカウト部長の法元英明さんがゲストで登場したとき、中日打線を抑える高橋建を目の当たりにしながら「私は何度彼を中日に入れようと思ったかしれません! 彼はね…」と彼の魅力を熱っぽく語ったのだそうだ。偽南渕はそれを聞くのが「何よりも好き(つか、高橋建にこよなく惚れ込んでいる法元さんを好き)なので、ぜひまた法 元さんが中日広島戦中継にゲスト出演してくれることを願っている。

 法元さんはそんなに高橋が気に入っていたのに他のスカウトや首脳陣の猛反対にあって泣く泣くあきらめたのだそうだ。それなのに高橋に完封された星野監督は「地元(愛知県のトヨタ自動車)にあんな選手がいたのになぜドラフトでとっておかなかったんや」と言われたのだそうで、「そりゃたまりません(偽南渕)」。
 でも25歳と高齢の左腕なんて、1995年当時の中日は必要としていなかったと思うが、という偽仁志に偽南渕は「とっておけば飼い殺しできただろ」と一転シビアな意見を。

 ところで法元さんは「月刊ドラゴンズ」で自分がスカウトした選手のことを連載している。そろそろネタが尽きてきたころなので、番外編として高橋建を扱ってほしいと偽南渕は熱望している。
 いっぽうカープ雑誌「月刊アスリートマガジン」では備前喜夫元スカウトが『コイが生まれた日」という連載を持っている。2003年4月号に掲載された第2回は高橋建。ここで備前さんは「(トヨタ自動車時代の)建ちゃんは、地元以上に中央の評論家に早くから高い評価をされていたらしい」とやって、また法元さんの尽力をなかったものにしている。

ウェスタンリーグで高橋が中日相手にノーヒットノーラン達成 (1996年)

 


などと言っているうちに本拠地ナゴヤドームで讀賣戦。世間の人が「とくにひいきチームはないけど、でも阪神が強いと面白いよね」「阪神、いい補強したんだし、優勝してよしいよねー」「ねー」などと口にするなか、悪役巨人と裏の悪役中日はどんな戦いを繰り広げたのか。
日曜夜の切なさはテレビの『サザエさん』だとよく言われるが、中日ファンにとってのサザエさんとはだれなのか。

待て、次号!

2003/4/21