タイムリーコラム
星之★戦争 “STAR'S WARS”

エピソード２：
Return of the TAKESHI
★怒れヤマサキ 立てタケシ★

不振を続ける山崎選手への応援メッセージが増えている昨今、様々な媒体で、ファンや専門家から技術論・精神論と、山崎選手には多数のアドバイスが寄せられており、彼に対するドラファンの“愛”の深さを物語っている。

なにしろ、最近数が減ってきた地元出身のヒーローであり、同時に、彼の、どこか母性本能と父性本能をくすぐるキャラクターがそうさせるのかもしれない。

さて私は、山崎選手不振脱出の鍵は、一言、「怒り」であると考える。

何年か前のことであるが、対巨人戦でガルベス投手から頭に死球をくらった山崎選手が抗議行動を取り、両軍入り乱れての乱闘にまで発展した後、結局、両者退場処分となってしまったことがあった。

当時、ガルベス投手のビンボールまがいの内角攻めに悩まされていた日本人選手は多かったにもかかわらず、体格が大きく、こわもてのするガルベス投手を恐れて、誰１人抗議できなかったなかで、山崎選手は、敢然とガルベス投手に立ち向かっていった。

「日本人選手だって、怒るときはちゃんと怒るんだ。なめるなという気持ちでマウンドに向かいました。」

退場処分が下された後の当時の彼のコメントは、こんな感じだったと記憶している。

頭に死球をぶつけられて意識を失った後、しばらく経って気がついた山崎選手は、ガルベス投手に抗議をするためにマウンドに近づいたが、その際、倒れるときに握り締めていたバットを丁寧にその場に置いてから、ガルベス投手が仁王立ちで待ち構えるマウンドへと、一人向かっていったのである。

その勇気とフェアプレー精神は万人の共感を呼ぶところとなり、かの有名な某民放テレビ局「珍プレー好プレー特集」の年間大賞を獲得してしまった。

本来、この賞はユーモア溢れる「珍プレー」に与えられるのが通例であったが、山崎選手の「好プレー」は、あまりに感動的だったということで、栄えある大賞に選ばれたようである。

この“快挙”の源こそ、山崎選手の沈着冷静な「怒り」であり、野球選手としてのフェアプレー精神に違いない。

彼がもう一度、あのときのような「怒り」を胸に秘め、無心でバットを振り抜けば、真の好プレーを披露してくれるに違いない。