広島東洋カープ
2003年カレンダー
評価推移研究

バイトカープファン　東山にしこ（時給５５０円）

2002年10月17日、全国の予約者のもとに、広島東洋カープ様の2003年版カレンダーが届けられました。

相変わらず早いですね。
他社のカレンダー印刷の注文が殺到する前に、印刷費が安いうちに刷るのだろうと、偽南渕さんが言っていました。

ことの真偽はともかく。そんなに早く刷るためには、掲載する選手の人選を、８月中にはやってしまわないと無理です。
つまり、カープのカレンダーの人選は、８月末時点の評価が反映するということですね。

■８月末時点のベストメンバー

では、８月末に選ばれたと思しきメンバーを見てみましょう。

１月＝10人（ 天家、天野、山本（翔）、筒井、国木、山本（芳）、石原、大竹、大島、山本監督）
２月＝３人（町田、玉木、河内）
３月＝２人（金本、黒田）
４月＝２人（野村、佐々岡）
５月＝２人（高橋、西山）
６月＝２人（木村（拓）、緒方）
７月＝２人（新井、小山田）
８月＝２人（東出、前田）
９月＝２人（木村（一）、長谷川）
10月＝３人（鶴田、小林、浅井）
11月＝４人（岡上、福地、廣瀬、瀬戸）
12月＝４人（栗原、河野、広池、苫米地）

実はこれ、合計が38人で、去年と同じです。毎年38人なんでしょうか。だったら、１月は前年の新人を全員掲載しますから、新人が多いと先輩方は不利じゃないですか。それに監督まで混ざったら、そりゃ嶋とかはみ出すでしょう。

いや、38人なのが続いたのは偶然だと思いますけどね。

さて。2002年の５月、カープのベストシーズンを飾ったのは、新井と金本の師匠コンビでした。ここを継いだのが、ごらんのように、高橋と西山の、三十路バッテリー。

人選が締め切られたと思しき８月末の時点で、高橋は９勝目。勝ち頭とか防御率トップではなかったのですが、ちょうど８月28日に市民球場で、巨人相手に１対０の完封をやってのけたばかりでした。しかも９回表まで173球も放り、あまつさえ味方にもらった１点も敵のミスによるもの、という奮闘ぶりには、他球団のファンからも賞賛が寄せられていました。
筆者の耳にも、こんな言葉が届きました。
「広島のなんとかいうピッチャー、すごかったね」「巨人に勝った広島の左投手、ハートのある投球をしてたよ」「あなたの好きなほら、アレが完封したねぇ」と、多くの人の心に、高橋建の名がくっきり刻み込まれたようでした。

あんな簡単な名前、何でみんな覚えてくれないんだ！

与太はさておき、そんなことの直後ですから、その日のバッテリーが５月に配置されたのは自然のなりゆきでしょう。

これに対し、結局勝ち頭になった長谷川は、９月１日に11勝目をあげるのですが、たぶん高橋のほうが格が上だと思われたのでしょう。2002年にはなかよく３月に載っていたのですが。
そのかわり長谷川は、2003年カレンダーのクライマックスとなっています。機会があれば９月まで順にめくってください。長谷川だけ、異様に大きな顔のアップが入っています。趣旨がわかりやすいですね、カープ球団。

それにしてもわからないのが、11月に載っている瀬戸です。
瀬戸はカレンダー人選の２ヶ月も前、６月26日に登録抹消になっており、結局８試合出場、７打数２安打で打点なしに終わっています。そんな成績でカレンダーに載っている人はほかにいません。
瀬戸はFA選手だったのですが、それと関係があるのでしょうか。もしかして、プレッシャーをかけるための、「カレンダーに載ってるのにFAで出ていったら罰金」という制度でもあるのでしょうか。

あ、ちなみに金本は３月。仮に残っても、開幕月ですから悪くはないし、いなくなっても、シーズン真っ盛りやオフのカレンダーに出てくるよりはずっとまし、というタイミングです。
球団も、さまざまな前例に学びましたね。

■人口密度は去年とほぼ同じ

球団によっては、スター選手だと、ひと月にひとりしか載っていません。カープはひと月に最低でも２人、多いと10人も載せてしまいます。
もちろん、いっしょに載っている選手が少ない＝評価が高い、ということになります。
では人口密度が低いのはどの月なのか？　去年と比べて見ましょう。ていうか去年とあまり変わりません。

人口密度は10月から上昇します（数値的には２が３になるだけだけど）。10月だってシーズンだし、日本シリーズに出ているかもしれないのに、最初から勝負を投げていませんか。
ま、とにかく、要するに、３月から９月、とくに４月から８月が偉いということです。これを確認したうえで、次の問題を見てみましょう。

■卓上カレンダーによる修正発表

カレンダーというものは前の年の10月には商機を迎える商品です。
ただし、球団のカレンダーはどうしても、人選の問題でタイミングが合わず、
・いない人を入れてしまう
・ホクロを取った人のホクロ付き時代を載せてしまう
といった、笑いどころを作ってしまいます。

ところで。
讀賣ジャイヤンツは、シーズン直前にもうひとつ、春始まりのカレンダーを出します。つまり、シーズン終了後の評価を加え、人の出入りも反映させたものを改めて売るわけです。
前年の秋に発売されるものは、選手が変なポーズをとっていたり、背景が紅葉だったりと、作り込みをしているのですが、開幕前に売るほうは、試合中や練習中の写真で、即時性を重んじています。

他球団にそんな何種類もカレンダーを作っている余裕はありませんが、その代わり、カープの場合はやはり春（３月）始まりの、「卓上カレンダー」というものがあります。
これは年が明けてからの発売で、新年度のメンバー表が入っています。
卓上カレンダーで、スペースも小さいですから、１ヶ月に入っている選手はひとりだけです。
そして、そのメンバーは明らかに、前シーズン終了後の評価を反映しています。

ちょっと怖かったのですが、思い切って、「壁掛け」と「卓上」の両方に出てきている12人が、それぞれ何月に載っているかを調べて、グラフも作ってみました。

卓上カレンダー掲載選手（カッコ内は壁掛けでの掲載月）

１月＝木村（拓）（６月）
２月＝小山田（７月）
３月＝新　井（７月）
４月＝前　田（８月）
５月＝長谷川（９月）
６月＝緒　方（６月）
７月＝東　出（８月）
８月＝佐々岡（４月）
９月＝黒　田（３月）
10月＝野　村（４月）
11月＝町　田（２月）
12月＝高　橋（５月）

薄い青を乗せたのが「偉い月」、赤い点線のなかが、「とくに偉い月」です。壁掛けでも卓上でもここに入っている選手は名前を赤字にしてみました。

卓上カレンダーに入っている12人は、さすがに、ほとんどが「偉い」月に載っていた面子ばかりです。
壁掛けで「偉い」月に載っていたのに、卓上には載っていないのは、金本、西山、木村（一）。
逆は町田です。町田はもともと、グッズもある人気者だし、FAで残ってくれたことも寄与しているのでしょう。

問題の５月を取ったのは長谷川。シーズンが終わってみたら、何と13勝、勝ち頭となっていたのですから無理もありません。代わりに、結局けがで３軍に落ちて９勝に終わった高橋を、12月に追い落としてしまいました。
長谷川、写真の中で、一人前の顔して気取っています。いっぽう12月の高橋も、派手な３色グラブを手に、上機嫌で笑っています。だいじょうぶ、３月始まりですから、12月でも翌年のにさっさと取替えられたりしませんから（てことは小山田が？）。

ただし、卓上カレンダーは３月始まりですから、見本はいつも新井です。卓上のいちばんいい月は３月だといえます。新井（の腹部）は壁掛けのほうの表紙にもなっており、期待の度合いがわかります。

いっぽう、故障やお母様の逝去などもありながら、帰ってくれば勝ちを重ねるしぶとさを見せてますます評価のあがった黒田、ぎりぎりで、偉い月にはりついています。

日本シリーズでボロマケした中日のファンにそんな失礼な言い方されたくないですかそうですねすみません。

さて。
壁掛けと卓上で同じ６月に載っている緒方はたいしたものですね。2002年には３年ぶりに規定打席に到達、打率も３割を越え、ホームランも25本。FA権も行使せず。
卓上カレンダーのカバーは、この緒方です。勝ち試合のあと、胸を張って山本監督＋松原コーチと手を合わせる後姿の緒方です。東出と岡上も見え隠れしています。
今年もこんな喜びにあふれた、選手とベンチの姿がたくさん見たいですね。
（緒方誉めて締めるんじゃないのか！＞自分）

2003/2/11

グラフ作成ソフト＝Microsoft(R) Excel version 2002