明治神宮野球場で見た高橋復帰戦
（バイトなので淡白なタイトルにしました）
その２
バイトカープファン 東山にしこ
観戦・撮影 2002年10月16日
■中日ファンはいいなぁ…あ、私か！
高橋建の２００２年といえば、３つもあった完封試合（３試合はリーグ２位タイ）、なかでも讀賣を０対１でやっつけた広島市民球場での試合があげられます。
・さんざんピンチを作りながらも、
・気合を入れ、声を出し、
・ひとつもホームを踏ませず、
・セカンドに向かう江藤に投げたボールが死球（？）になっても「もういいスか？ 早く投げたいんだけど」みたいな表情で、会社の近くの蕎麦屋でテレビを見ていた私を唖然とさせ、
・首位打者争いをしていた松井と勝負して４の１におさえ、
・173球もひとりで放り、
・勝った瞬間には照れて舌なんか出して、
・お立ち台では淡々としていたあの試合は、
私に、この人がかつて二軍でノーヒットノーランを（中日相手に）達成したというムダに偉大な事実を思い出させました。
８月28日までに９勝。このペースなら、最終的には13勝ぐらいかな…と思わせたとたんの３連敗。
登録を抹消されてようやく報道されましたが、８月以降は体調がほんとうによくなかったのですね。というか、左肩が痛かったのですね。
私はあの讀賣戦は高橋に13勝をもたらすのではなく、９勝という結果を招いたと思っています。
本人の感想に、「いい試合だった、僕だけかもしれないけど、緊張した内容だった」というのがありました。投手が自滅する試合を
よく「ひとり相撲」といいますが、勝つ試合にもそれがあるとしたら、この試合がそうなのではないかと思います。
あんなしんどい思いをしないと、このチームは勝てないのか。そう思ったら投手という孤独な仕事はやってられません。いっぽう、ひとりふんばるのもまた投手の仕事。そのバランスが、あの日、崩れたと私は思います。それで、カラダが不調なまま勝ち続けるのはもう限界だったでしょう。
しかも、これはなぜか、翌朝の日経新聞だけが抜いていた情報で、ほかでは見かけないのですが、讀賣戦ではツメを割ってそれをテーピングして投げていたそうです。１７３球ですから、ツメも割れるでしょう。
割れたツメって、そんなにすぐ治りませんよね。次に生えてくるまではそのままでしょう。ですが次の登板は中５日でした。
そんなんで勝てるわけないでしょう。カープの打線なのに（酷）。
中日の川上憲伸はことし、同じように見殺しが続き、マスコミに「やってられませんわ」という言葉を捉えられ、報道されました。
ケンシンらしいな、と私は苦笑するだけですが、これを首脳陣も、仲間も放っておかなかった。その結果が讀賣戦のノーヒットノーランと、桑田に次ぐ防御率です。
まあ、中日はそんなキレやすい投手のケアをする余力があったから最下位予想をくつがえして３位なのであり、５位のカープは、中日よりはるかに多くの問題をかかえてのシーズンです。高橋のめんどうを
最優先で見よとはいえませんが。いや、ファンですから、ほんとはずっといってましたけどね。
そんなわけで、私は高橋が１７３球も投げながら０対１であの讀賣を下したことよりも、そのあと３連敗して商売道具の一番だいじな左肩を傷め、それでも戻ってきたこのマケ試合こそが誇りです。
来年もこんなかんじで投げてほしいですね。
点を取るほうはキミの課題ではないのだし（30KB）。いや、でも、この日みたいなスリーバント失敗はやめてください（笑）。写真→１（15.4KB） ２（18KB）会話はフィクションです。
それはともかく、記憶なんか消えてしまっても、スコアを見れば高橋がちゃんとやってたとわかる、そういう試合であることが嬉しいです。
それは私が、本業は中日ファンだからなんでしょうね。ピンポイントで高橋のことだけ見ることができるからでしょう。困ったものです。バイトクビにしないでね…。
■その他、気づいたこと
（１）試合前、西山捕手がグランドに入ってきたのを見て愕然！
西山の背番号ってそういえば32だった！ ロト６、34を塗りつぶしちゃったよ！ 34は投手の田中だよ…27歳で二軍だけど…彼に何をしろというのか＞私。
しかしこのロト６は、なんと当選してしまったのです。
３つの数字が一致する「５等」で賞金は1000円、つまり元を取っただけですが、一致した数字は「08、22、25」。ピーコ監督、建ちゃん、ぴよ新井、ありがとう（笑）。
（２）ヤクルトの新人石川は筆者の大学の後輩で、大学野球には疎い身にも、その名は早くから届いていました。
そのデビュー戦は何と、高橋の今季初登板でもある４月４日。ものすごく寒い、風の強い日でした。
以来、私はどんな寒い日にも効きすぎの冷房にも、「４月４日にスタンドに座り続けたのに比べれば！」と思って耐えてきました（バカ？）。
で、石川は初先発初勝利（Ys４−０C）。そして最終戦の相手も高橋（Ys３−１C）。えーと、ほかに７月19日にも対決があり、これも石川の勝ち（C１−４Ys）。
それで意識しあっているわけではないでしょうけど、どうもこのふたりの、「東都の先輩後輩左腕」は、１打席ずつ、お互いに内角をえぐりあって挨拶している気が（18.3KB）…私の妄想でしょうか…。→さらに妄想（16KB）
（３）石川の青学時代のチームメイト、キャプテン志田は、後半戦になって、石川の勝利を助けるプレーが目立つようになった外野手です。
16日の試合後に会った、ヤクルトファンのＫ先輩によると、志田はとにかく足が速い！
この日は高橋のフライも含め、何度も「志田っ、なぜそんなとこにいる！」と思う好守備がありましたが、足が速いので何でも追いつくせいだったのですね…。
■無断引用コーナー
では、故障、登録抹消から復活まで、中国新聞よりも詳しく高橋のようすを伝え続けた『スポニチOSAKA まるごと広島』のテキストを、無断コピーペーストして終わりにいたします。
（ちなみに中国新聞のＷｅｂサイトは、10月13日に引退試合のために１軍の練習に参加した山内の写真を、翌14日に掲載しましたが、その後ろに高橋が映りこんでいたため、意図せずしてファンを騒然とさせました）
（ていうかあまりに報道がなく、Yahoo!掲示板の『頑張れ！ 高橋建』には、業を煮やして球団に電話されたファンの方の書き込みがありました。『スポニチOSAKA』に出る直前のことです。で、電話での返答は、報告がないので把握していない、ということでした。ツメを割った話が、スポーツの報道媒体としては傍流の日経新聞に、精密検査の日程が地元ではなく名古屋の中日スポーツに載ったという事実から類推すると、選手の容態をあまりおおっぴらに、あるいは律儀に報告しない球団なのかもという気がします）
（10月１日付）
カープ・高橋建、２年連続２ケタ勝利目指し懸命のリハビリ
写真キャプション（写真は当時ではなくたぶん９月上旬の、市民球場でのもの）▲ ２年連続２ケタ勝利へ懸命に復帰を目指す高橋建
◆ 復帰なるか左腕エース ◆
高橋の２年連続２ケタ勝利に黄色信号がともった。９月２０日に左背筋痛のため出場選手登録を抹消。再登録可能となった９月３０日も１軍に合流しなかった。
１―０完封の熱投で９勝目を挙げた８月２８日の巨人戦（広島）を最後に白星が遠い。１０勝を目前にして３連敗と足踏みした。１８日のヤクルト戦（神宮）で今季１３敗目を喫すると、翌々日には戦列を離れた。
８月から続いていた体の不調が限界に達した。「詳しい検査をしているところ。キャッチボールはしている」と福永トレーナー部長は現状を説明。今は大野練習場でリハビリに励む毎日だ。
３０日に広島市民球場で行われた全体練習にも高橋の姿はなく、最短１０日間での復帰は見送られた。北別府投手コーチは「いい報告が来ていない。状態がいいなら練習に参加している」と厳しい表情を浮かべた。
今季はあと１２試合を残すのみ。「僕の野球人生の中で大事になる」と大きな目標にしていた２年連続２ケタ勝利へ向けて左腕エースが懸命に復帰を目指す。
筆者コメント：「８月から続いていた」って、もう少し早くなんとかならなかったのかね。あと北別府のいらだつようすが目に浮かびます。最短での復帰は、私も指折り数えていたのですが。
（10月３日付）
高橋、２ケタ勝利へ急ピッチ調整
◆ ３軍降格後初めてブルペン入り ◆
９月２０日に左背筋痛のため出場選手登録を抹消され、３軍で調整中の高橋建投手（３３）が２日、降格後初めてブルペン入りした。１球１球に手応えを感じながら、捕手を座らせ３０球の投げ込みを行った。
「まずまずです。１軍で登板するとなると、まだまだだけど、投げ始めにしては思っていたより良かった。投げた感じでは痛いところも気にならない」
球を受けた熊沢コーチも「コントロールがちゃんとされている。やっぱり持っているものが違うね。上体が崩れる感じがない」と左腕の回復ぶりに目を細めた。
８月２７日の巨人戦（広島）で、１７３球を投げ１―０の完封で９勝目を挙げた。だが、２年連続２ケタ勝利に王手をかけて以来、足踏みが続いている。９月１８日のヤクルト戦（神宮）では今季１３敗目。目下、３戦連続で勝ち星から見放されている。
「巨人戦のようなピッチングはなかなかできないが、とにかく責任を持てるイニングを、常に投げたい」
残りはわずか１０試合。登板機会は限られている。左腕は早期の戦列復帰を果たし、２年連続２ケタ勝利へ望みをつなぐ。
筆者コメント：１日の報道から中１日でこれが出ました。いやー、嬉しかったです。
熊沢コーチというのは現役時代１軍経験のない人ですが、ここまで９勝してきた１軍のローテーション投手の球を受けたのですから、それは目も細くなるような体験だったことでしょう。
あ、カープの３軍というのは、故障で登録抹消になった人を置いておくところです。
（10月10日付）
高橋、2年連続2ケタ勝利へラストチャンス
２年連続２ケタ勝利へスタンバイＯＫ―。左背筋痛のため９月１０日に出場選手登録を抹消され、戦列を離れている高橋建投手（３３）が９日、１２０球の投げ込みを行い完全復活を強烈に印象付けた。
大野室内練習場のブルペンに入り、熊沢コーチの「行けるところまで行ってみようか」の掛け声にうなずくと、左腕は１球ごとに集中力を高めながら投球を繰り返した。
「今季、投げるにしろ、投げないにしろ、しっかりしたフォームで投げ込んでいたほうがいいと思って。痛みはないし、あとはまだ少しずれているバランスを修正するだけ」
顔からは、声がかかればいつでも行けるという自信があふれていた。
「周りの応援してくれている人たちへのためにも、そして僕自身も（２ケタ勝利を）達成したい。投げるとしたらあと１試合だし、何とか頑張りたい」
８月２８日の巨人戦（広島）で９勝目を挙げ、王手をかけて以来、勝ち星からは見放されている。チームは残り５試合。左腕エースはラストチャンスに総てをかける。
筆者コメント：何かに基づいているというより、願望で書いている気配のある記事ですが、掛け声にうなずくという、可愛気を強調した描写には「ああ、あいかわらずだなあ、建ちゃん」と思いました。
（10月16日付）
高橋、2年連続2ケタ勝利へ最後の勝負だ
（写真キャプション）▲ きょうのヤクルト戦で２年連続の２ケタを狙う高橋
◆ きょうヤクルト戦登板 ◆
左腕エースがラストチャンスにかける。左背筋痛から復帰した高橋がきょう１６日のヤクルト戦（神宮）に先発登板。今季の最後のマウンドで２年連続２ケタ勝利の達成を目指す。
残されたチャンスは１回しかない。「全力を出し切りたい」。１５日、高橋は広島市民球場で最終調整を終えると、表情を引き締めて東京へと向かった。
８月２８日の巨人戦（広島）での完封勝利で９勝目を挙げながら、以降は３連敗。９月２０日には左背筋痛のため出場選手登録を抹消された。８月頃から不安視していた故障がついに限界に達した。王手をかけた２ケタ勝利が一度は遠のいた。
「野村さんをはじめいろんな人に励ましてもらった。気持ちを奮い立たせてくれた」
懸命にリハビリを続け、１０日から１軍練習に合流。首脳陣からもラストチャンスをもらった。
「１０勝を２年続けられたら大きな自信になると思う。今年最後。変な終わり方はできない」
高橋は有終の美を誓った。２００２年シーズンを節目の白星で締めくくる。
筆者コメント：去年、10勝目のとき、お立ち台で「きょうは高橋の10勝目がかかってるから」と言ってた野村さん、ことしも建ちゃんを励ましてくれたのね。やっぱりええ人や。
あと、「変な終わり方」にはならなかったよ、建ちゃん。ありがとう、またね。
（2002.10.21）
|
